毎日を自分らしく生きたい人のゆるーり雑談blog

ちょこっと、ゆるりと。〜中学生シオンの物語〜

2人のキャラクターと共に、毎日思ったことや本から得た知識についてゆるーり発信していきます!

“仙人の教え|毎日自分らしく楽しむことに人生の意味がある”

(小説)カンペキ人〜本当の君を探し求めて〜第五話

「毎日自分らしく」をモットーに

 

 

・・・・・・

 

f:id:sinseikatudaiki:20180827145019j:plain

 

 

周りから聞こえる喜びと悲しみの声。

その二つの感情が入り混ざるこの空間で、雄

介はただ一点をぼーっと見つめていた。

 

 

「A245647」

 

無残にもその数字はどこを見ても何回見ても

そこには書かれていなかった。

 

 

 

・・・・・・

 

由香里は雄介をだまし、極悪非道な恋愛ゲー

ムをやっていた葉留佳を殺害するのに成功し

たあと、また見知らぬところへとタイムワー

プしていた。

 

 

ちょうどこの時はあの有名なセリフ

「ワイルドだろ〜」が流行っていた。

 

 

そう由香里はさらに3年後の2012年へと

タイムワープしていたのであった。

 

 

2009年時点で雄介は中学2年生だったの

で、2012年では高校二年生ということに

なる。

 

 

「次は高校時代か、、この時代にも雄介を懲

らしめた奴がいるんだね、、どんなことして

雄介を追い詰めたのかは知らないけど、絶対

に私が許さない。」

 

 

由香里はまた雄介を遠くから観察することに

した。

 

 

・・・・・・

 

 

「はーい。では今回の学年テストを返却しま

ーす!」

 

 

f:id:sinseikatudaiki:20180827144347j:plain

 

1週間前に行われた学年テストの結果が、各

教科の授業で次々に返される。

 

 

雄介はまだ高校二年生であるので、学年テス

トは「数学・英語・国語」の三教科で行われ

た。

 

 

この学年テストが全てのクラスで返されたあ

と、しばらく経ってから学校の掲示板に、成

績トップ10の名前と合計点数が張り出され

る。

 

 

雄介の目標はただ一つ。成績1位として、そ

掲示板に自分の名前が書かれることであっ

た。

 

 

ただ、いつも一人の男子が雄介の目標の大き

な壁になっていた。

 

 

掲示板に向かおうとする雄介の耳に数多の

ある言葉が聞こえてきた。

 

 

「うわー。やっぱりあいつってすごいな

ー。」

「2位とこんなにも差が開いているってあい

つ天才だなー。」

「いや、あの人は神レベルだよ。もはや

神。」

 

 

それらの言葉を聞いた瞬間、雄介は確信し

た。

 

「また2位か。しかもまたあいつに完敗した

んだな、、、」

 

一応雄介も掲示板に並べられている成績トッ

プ10位を見てみる。

 

 

10位  ・・・・   238点

 

 

2位   渡辺雄介   252点

 

 

1位   霧元敦    295点

 

 

 

そう常に学年1位を取り続けているのは、

「霧元敦」という男子だ。

 

 

10位から2位までの点数差は14点しかないに

も関わらず、2位と1位の間には43点もの得点

差があった。

 

 

「またこんなに得点差があるのか。しかも前

回よりも少しだけ差が開いているよな、、」

 

 

 

高校1年生の時は思うように成績が伸びず、

学年の成績もいつも二桁であったが、毎日6

時間くらい猛勉強した甲斐があったのか、高

校2年生で初めて学年2位まで登りつめるこ

とができた。

 

 

雄介は、学校にいる時間も1分たりとも無駄

にせず、授業と授業の間の休憩時間すらひた

すら勉強していた。

 

f:id:sinseikatudaiki:20180827144521j:plain

 

 

その一方で学年1位をキープし続けている敦

はというと、休憩時間は友達とたわいも無い

話を永遠にし続けているといったクラスの中

でもムードメイカー的な存在であった。

 

 

 

その姿を見た雄介はこう思った。

 

 

「どうしてこんなにも余裕があるのか全然理

解できない。俺はこんなにまで時間を削って

勉強しているのに、あいつはまるで必死で勉

強していないかのようじゃないか。」

 

 

休憩時間中に勉強しているといつも敦の声が

後ろから聞こえてくるが、その度に雄介は苛

立ちを感じていた。

 

 

 

雄介はそっと掲示板から目をそらした。

すると目に入ってきたのは多くの人に囲まれ

た敦の姿だった。

 

 

「やっぱり敦はすごいなー。天才すぎだよ

ー。」

「敦くん、よかったら今度勉強教えてー。」

 

 

すると、敦はみんなに対してこう答えた。

 

「まだまだ全然だよー。もっと頑張れるはず

なのにいつも自分を甘やかしてしまうんだ。

だからもっと自分に厳しくならないといけな

い。今回だって、ケアレスミスもしたし、も

っと上を目指さないとね。」

 

 

雄介はその言葉を聞いた瞬間、怒りがこみ上

げてきた。

 

 

「もっと上を目指さないといけないだと。自

分を甘やかしてしまうだと。

成績1位のやつが何言ってんだ!そんなこと

言って本当は有頂天に溺れてる気分なんだ

ろ。優越感に浸っているんだろ。よくそんな

顔で平気で言えるな。」

 

 

「なんで、俺はこんなに勉強しているのにい

つまで経ってもこいつに勝てないんだ。」

 

 

今にでも口に出して言いたいところであった

が、怒りを自分の心に沈み込ませて、少しず

つ落ち着きを取り戻していった。

 

 

そして時は流れ、雄介と敦はお互い高校三年

生になっていた。

 

 

この時期になると周りも受験勉強を始め、流

石に休憩時間も多くの人が自学自習している

風景が普通になっていた。

 

 

雄介も相変わらず、休憩時間の全てを勉強に

注ぎ込んだ。

 

 

雄介は「京都大学」志望。そしてライバルの

敦は、「東京大学」志望であった。

 

 

何回も行われる模試の中で、敦は常にA判定

を取り続けていたが、雄介はD判定から始ま

り、なかなかその判定を上げることを出来ず

にいた。

 

 

雄介はいつも焦っていた。

 

 

「A判定ばっかりとってやがるあいつは、い

つも平気な顔をして勉強してる。

なのに、俺なんかようやくC判定まで上げる

ことが出来たくらいだ。

こんなにもプレッシャーに押しつぶされそう

なのに、あいつはまるでプレッシャーを感じ

てないようだ。」

 

 

常に敦と自分を見比べてしまう雄介には、

自分と向き合う余裕すら残っていなかった。

 

 

 

そしてセンター試験前日を迎える。

 

センター試験の会場を下見しに行った時、

ちょうどホールみたいな場所で敦に遭遇し

た。

 

「あ、雄介くん!明日はお互いベストを尽く

して、必ず一緒に志望校合格しような!」

 

 

雄介はいまだに敦のことをよく思っていなか

ったが、受験のライバル同士、共に戦うこと

を受け入れた。

 

 

「おう!当たり前よ!」

 

 

 

センター試験当日。

 

「それでは、始めてください!」

 

試験官の合図とともに、皆が一斉に手を動か

し始めた。

 

f:id:sinseikatudaiki:20180827144916j:plain

 

マークシートを塗りつぶす音、ページをめく

る音。

それらの音が静寂な空間の中で、至る所から

聞こえてくる。

 

 

そればかりに耳を傾けていると、焦りが大き

くなり、自分本来の力を出すことは不可能

だ。

 

 

雄介はいつも通り落ち着いて自分のペースで

問題を解き進めていった。

 

 

「そこまで!」

 

 

緊張のセンター試験2日間が終了した。

 

緊張はしていたが、自分の世界の中で問題を

解くことが出来た雄介はそこそこの自信があ

った。

 

ただ、大事なのは二次試験。

 

どれだけセンターで点数を稼いだとしても、

二次試験で点数を取れなかったら、間違いな

く不合格となってしまう。

 

 

 

二次試験当日。

 

f:id:sinseikatudaiki:20180827144943j:plain

 

 

センター試験当日に比べて少し寒さが和らい

でいる。

 

そしていつしか暖かくなり、桜が咲く季節に

なり、その時期には京都大学へと入学してい

るといった自分の姿を想像しながら、京都大

学の試験会場へ入った。

 

 

今この大きな会場にいる多くの人は

もう二度とこの部屋に入ることはないのであ

ろう。

 

 

ここで行われるのは言ってみれば将来が一発

で決まる試験だ。勝つか負けるかはここで決

まる。

 

 

もうここまで来ると、自分を信じ、神を信じ

るしかない。

 

 

雄介はそう自分に言い聞かせ、問題を解き進

めていった。

 

 

 

そして運命の合格発表の日。

 

 

「A245647」

 

 

この番号があれば、雄介は晴れて京都大学

入学することができる。

 

 

 

「A245632」

 

「A245638」

 

「A245640」

 

「A245645」

 

「A245646」

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

「A245650」

 

 

そこには雄介の受験番号は一切書かれていな

かった。

 

 

雄介は何回も番号を見直したが、何回見ても

自分の番号はなかった。

 

 

「不思議だ。周りでは多くの人が歓喜し、多

くの人が涙しているというのに、全くその声

が聞こえてこない。」

 

 

 その瞬間、雄介はまるで京都大学のこの空間

と自分が隔絶されたかのような気分に陥っ

た。

 

 

「終わった。全てが終わった。」

 

その気持ちだけを持ったまま、雄介は京都大

学を後にした。

 

 

 

一方、敦は現役で東京大学に合格した。

 

 

敦の周りにはいつも友達がいて、支えてくれ

る仲間がいた。そして、多くの人が敦のこと

を祝福した。

 

 

雄介に声をかけてくれる人は誰一人いない。

 

それならまだしも、雄介はある時、クラスの

人たちの陰口を聞いてしまった。

 

 

「いやー敦は東大に受かって当然だね。で

も、同じクラスの雄介くんだっけ。

あの子京都大学落ちたらしいよー。あんなに

いつも休み時間勉強ばっかりしてたのに残念

だよねー。まあ、俺たちには関係ないか。」

 

 

雄介は絶望した。

 

 

正直死にたくなった。

 

 

なぜ自分なんかがこの世界で生きているの

か、俺なんて生きていなくても誰も悲しまな

いし、それならこんな命なんてなくても構わ

ない。

 

 

ただ、敦への怒りだけは収まらなかった。

 

 

「簡単に東大に合格しやがって、、、

俺の努力があいつの努力よりも絶対に上回っ

ていた。あんなクソみたいな意味ない話ばっ

かりしやがって、どうでもいい仲間たちと話

しやがって。そんなやつ死んでしまえ。」

 

 

・・・・・

 

由香里は決意した。

 

この時代で殺さなければならない人は、

「敦」だ。

 

雄介は敦によってプライドをボロボロにされ

た。

 

「雄介。待ってて、あなたが死ぬ必要なんて

ない。本当に悪いのは敦だよ。敦がこの世か

らいなくなればいいだけの話なんだから。」

 

 

 

数日後。

 

 

「さーて問題です。数字がつく四字熟語を1

0秒以内に30個答えなさい!」

 

ブーーーー。不正解。

 

 

「ということでこの部屋の酸素濃度を減らし

まーす!」

 

 

「次の問題です!雄介くんの受験番号は何番

でしょう!!」

 

 

ブーーーーーー。不正解。

 

 

その部屋で敦はぐったりと倒れて、再び目が

覚めることはなかった。

 

 

「A245647」

(敦を殺しな)

 

 

「排除したい人」残り1人

 

 

・・・・・

 

「常に一位に君臨し、仲間に慕われる力。」

これで4つ目のオーラか。

後、二つで俺は、、、、