毎日を自分らしく生きたい人のゆるーり雑談blog

ちょこっと、ゆるりと。〜中学生シオンの物語〜

2人のキャラクターと共に、毎日思ったことや本から得た知識についてゆるーり発信していきます!

“仙人の教え|毎日自分らしく楽しむことに人生の意味がある”

(小説)カンペキ人〜本当の君を探し求めて〜第三話

 

「毎日を自分らしく」をモットーに

 

暗闇の倉庫の中、由香里は血痕がついた金属

バッドを手に持ったまま微笑んでいた。

 

 

「これで、雄介が少しでも変わるというのな

ら、私がやったことに私自身後悔なんてしな

い、、」

 

 

「雄介待ってて。私が雄介の全てを変えてあ

げるから。」

 

 

倉庫の片隅から微かな光が差し込んできた。

まるで絶望の中の一筋の希望のように。

 

 

由香里はゆっくりと瞼を閉じた。

 

 

 

そしてゆっくりと目を開けた瞬間、由香里は

驚いた。

 

 

「え、、私が殺したはずの良助がいな

い、、」

 

 

良助がいないどころか、手に持っていた金属

バッドですら姿を消していた。

 

 

自分の靴の先に少しついてしまった血すら消

えていた。

 

 

「もしかして、、」

 

 

由香里の頭にあることがよぎった。

 

 

「私、またタイムワープしたのかな、、」

 

倉庫自体にそんなに変化はないが、

何かに違和感を感じていた。

 

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「良助を殺したあの日天気は晴天だったは

ず。でも、なぜか倉庫の屋根に打ち付ける

雨の音がわずかに聞こえている。」

 

 

由香里は倉庫の出口に向かい、外の天気を確

かめた。

 

 

「やっぱり、、」

 

 

晴天だった天気が一瞬のうちに変化してい

た。わずかに降る雨がまるで良助の血とリン

クする。あの時見た血を今でも鮮明に覚えて

いる。

 

 

「人を殺すのってこんな気分なんだ。」

 

 

由香里は今まで感じたことのない感情に襲わ

れていた。

 

 

恐怖のドキドキと欲望のドキドキ。

この二つの感情が由香里の中で渦巻いてい

た。

 

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「あ、今って西暦何年なんだろう。」

 

 

またタイムワープしたということは、

この時代にも雄介を懲らしめていたやつがい

るということになる。

 

 

「トゥース!!」

 

 

遠くで、中学生くらいのグループが大きな声

で聞いたことのある芸人のネタを真似してい

た。

 

 

由香里はその中学生たちに尋ねた。

 

 

「ねえねえ、今って西暦何年かわかる??」

 

 

中学生たちは訝しな表情でこう言ってきた。

 

「姉ちゃん何言ってんの?今は2009年だ

よー!頭おかしいんじゃないの??」

 

 

3年前のおばあちゃんと全く同じ反応だ。

 

当たり前といえば当たり前だ。

 

そもそもこの時代を生きている人たちにとっ

て、西暦が分からないということは意味不明

である。

 

 

「私結構ドジなところあるからねー。

教えてくれてありがとうねー。」

 

そう言って中学生達とは別れた。

 

2009年。ということはあの卑劣な少年良

助を殺した時代から3年後という事になる。

 

 

ということは、雄介は中学2年生。

 

 

由香里はただ雄介が無事かどうか心配だっ

た。

 

 

 

・・・・・

 

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ある中学校でのクラスマッチ。

 

クラスマッチではサッカーが行われていた。

 

 

俺はクラスの中でも一番運動神経が悪いと言

っても過言ではない。

 

なんのスポーツをしても大体はお荷物だ。

 

俺がいない方がクラスはより勝ちに近づくの

に。

 

 

「ゴーーーーール!!!」

 

また俺のチームが点を取った。

 

あいつはやっぱりすごすぎる。この試合でも

う3点も取っている。

 

「キャー!キャー!真人くーん!!

かっこいい!キャーー!!」

 

四方八方から女子の歓声が聞こえてくる。

 

 

そう、俺はこいつにプライドをズタズタにさ

れていた。

 

その名前は「真人。」

 

クラスマッチではいつも活躍していて、体力

テストも全部10点を取るような男だ。

それにして、芸能人レベルの容姿・体型を揃

えた「The イケメン」だった。

 

 

それに比べて俺は何一つ取り柄がなかった。

 

 

あいつの能力さえ奪えれば。俺だってもっと

女子からモテたというのに。

もっと楽しい中学生活を送れたというのに。

 

 

あの時だってそうだ。

 

 

中学一年生の時の「バレンタインデー」

 

 

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女子にとっては一年に一度、自分が気になっ

ている人、好きな人に本命チョコをあげるこ

とができるチャンスだ。

 

 

女子にとってはなくてはならない一大イベン

トである。

 

 

ただ、男子もこのバレンタインデーをただ事

で済ますわけにはいかない。

 

 

女子からチョコを貰えるかどうかが一番大事

なことだ。

 

 

その日だけは朝早くから教室に行き、

とりあえず自分のロッカー、靴箱などを散策

する。

 

 

そして放課後になるまで「いつチョコが貰え

るのか」といった淡い期待の感情と対決しな

ければならない。

 

 

貰えなければ絶望する。

 

 

「ま、真人くん、、これよかったら受け取っ

て、、」

「わ、私からも受け取って、真人く

ん、、、」

 

 

真人は朝から放課後まで数えきれない量のチ

ョコを貰っていた。

それを羨ましく見ながら、俺は自分の状況に

目を向けたくなかった。

 

 

チョコの数は0。

 

俺は絶望した。

 

 

イケメンで運動神経抜群なだけで、

こんなにも女子からモテモテになるのか。

 

 

残酷すぎるこの世の中。

人は平等に生きてきたはずなのに、こんなと

ころで早くも差がついている。選ぶことので

きない容姿・体型・運動神経だけでこんなに

も日常生活が変わってしまうのか。

 

 

くそったれ。

 

死んでしまえ。

 

 

そんな奴なんて死んでしまえ。

 

 

 

雄介はこの時から真人に対して殺意を抱いて

いた。

 

 

「少しくらい、俺だって楽しい生活送らせて

くれよ!」

 

 

 

・・・・・

 

 

由香里は雨が降る中、少し高くなっている歩

道を歩いていた。

 

「ザバーン!!」

 

すぐ横を通った自転車が、水たまりの水を撒

き散らした。

 

 

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「コラー!ちょっと待てー!」

 

由香里はびしょ濡れになった姿で、自転車に

乗っていた中学生くらいの男子を引き止め

た。

 

 

「どうしてくれるのよ!君!服がびしょ濡れ

になったじゃない!!」

 

お互いの目が合った瞬間に、二人ともあるこ

とを確信した。

 

 

「あ、、」

「あ、、」

 

「ゆうすけ???雄介くんなの??」

 

「あなたはあの時のお姉さん??」

 

 

由香里は雄介に会えたことに感激して少し泣

きそうになった。

 

「雄介くん、お姉ちゃんに全部任せて。

あなたが懲らしめたい、殺したいって思う

人。私が代わりに殺してあげるから。」

 

「え、、どうして俺に殺したい人がいるって

分かってたんですか?」

 

 

「君の顔を見てるとすぐにわかるよ。顔によ

く出てる。その不安そうな顔。自信のない

顔。毎日に絶望している顔。その全てが私に

は伝わってくる。」

 

 

「・・・

なら、お姉さん、あいつを今すぐ殺してくだ

さい。真人。同じ中学の真人っていう奴

を。」

 

 

「あいつは運動神経も抜群でそれにしてイケ

メンで、女子から毎日キャーキャー言われ

て、俺がどんなに努力しても勝てないん

だ。」

 

 

「あいつさえ殺してしまえば、俺だって少し

は女子からモテるはず。きっとモテるは

ず。」

 

 

「お姉さんに任せて。私はあなたのためなら

なんでもするから。遠慮なくなんでも言って

ちょうだい。」

 

 

由香里は中学時代の雄介と別れて、あること

を計画した。

 

 

「恭子ちゃんだよね?実はお姉ちゃん真人君

のいとこなんだけど、いつも恭子ちゃんのこ

とばっかり話してくるから、一回話してみた

かったんだー!」

 

 

由香里は真人をいつも狙っている恭子という

女子に接触した。

 

 

「今度よかったら真人とデートに行っておい

でよー。

あ、そうだ!真人はいつも動物園に行きたい

って言ってたよ!」

 

 

真人のことを狙っている女子中学生をうまく

使い、呼び出すことに成功した。

 

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恭子ちゃんがくる少し前に真人を呼び寄せ、

動物園の隣の山奥へと一緒に向かった。

 

 

「真人君。ハッピーバレンタイン・・・」

 

「グサッ、、、」

 

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倒れた真人の周りには無数のチョコレートが

飾られていた。

 

 

 

 

 

「排除したい人」残り3人

 

 

・・・・・

 

 

 

完璧な容姿・体型、そして抜群の運動神経。

これで二つ目のオーラか。