毎日を自分らしく生きたい人のゆるーり雑談blog

ちょこっと、ゆるりと。〜中学生シオンの物語〜

2人のキャラクターと共に、毎日思ったことや本から得た知識についてゆるーり発信していきます!

“仙人の教え|毎日自分らしく楽しむことに人生の意味がある”

(小説)カンペキ人〜本当の君を探し求めて〜第二話

「毎日自分らしく」をモットーに

 

 

・・・・・

 

アパートの9階部分から雄介に落とされた由

香里はその瞬間自分の命が途絶えたと思っ

た。

 

 

「私はまだ25歳。

こんなところで死にたくなんてない。

まだまだやりたいことだってある。

それに、、、

雄介にだって本当の気持ちを伝えたかっ

た、、

 

それなのに、それなのに、」

 

 

深く目を閉じて、落ちている瞬間そう思って

いた。

 

 

なんだか鳥になった気分だ。

このまま目が覚めたら天国にいるのかな。

 

 

 

 

だんだんと自分の体の感覚がなくなってい

く。

まるで無機物になったかのように、私の体は

空気と一体化していった。

 

 

 

「ん?」

 

由香里は何か違和感を感じた。

 

何か顔のあたりに当たっているものがある。

 

恐る恐る目を開けるとそこには信じられない

光景があった。

 

 

「どういうこと?ここはどこ?

私確かにアパートから落とされたよ

ね・・・」

 

 

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由香里は知らぬ間に見覚えのない芝生の上に

寝転がっていた。

 

 

「あ、そうだ!私のスマホ、、、

あれ??ない、、持っていたはずのスマホ

ない、、」

 

 

ポケットに入れていたスマホがいつの間にか

なくなっていた。

 

 

「あ、あの。ここってどこですか?」

 

 

由香里はとにかく場所を把握するために通り

すがりのおばあちゃんに今自分がいる場所を

聞いた。

 

 

「ここはのー。三橋総合公園じゃよ。

お嬢ちゃんはこのあたりの子じゃないのか

な?」

 

 

その公園の名前を聞いた瞬間、由香里の頭の

中で何かが思い出された。

 

 

「あ、この公園ってもしかして昔雄介がよく

遊んでいたって言ってた公園かな?」

 

 

そう思った由香里は近くにある看板に書かれ

ている住所を見てみた。

 

 

「やっぱりそうだ。ここは埼玉県。

雄介が生まれ育ったところだ!」

 

 

ここで由香里の中で一つの仮説が生まれた。

 

あの時雄介に飛ばされてアパートから落ちた

が、地面に落下する前に体ごと別の場所に飛

んできたという仮説が。

 

 

ただ一つだけ気になっていた。

 

 

「おばあちゃん、今って西暦何年ですか?」

 

 

おばあちゃんはかなり不思議そうな顔をし

てこう言った。

「2006年じゃよ。なーにおかしなこと聞

くかと思ったら、お嬢ちゃん頭でも打ったの

かい?」

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

由香里は動揺しながらもおばあちゃんにお辞

儀をして別れをした。

 

 

「2、2006年!??」

 

由香里は今の状況を把握するのに少し時間が

かかった。

 

 

ふと目の周りを見てみる。

 

 

道路を走っている車、そして通行人が持って

いる携帯、由香里の視線に入ってきたのは、

由香里が生きていた2020年のものとは

大きくかけ離れていた。

 

 

由香里は動揺している自分を少しずつ落ち着

かせながら、晴天の青空を見ながらこう思っ

た。

 

 

「私は14年前にタイムスリップしたという

ことになる。でもどうしてわざわざこんな時

代に飛んできたんだろう。2020年の私は

姿ごといなくなってしまったのだろうか?」

 

 

思考回路が複雑になりすぎて、由香里の頭は

パンク寸前であった。

 

 

「こんなこと考えててもキリがないし、とり

あえず元の時代に帰る方法を探さない

と、、」

 

 

そもそも元の時代に戻れる保証はどこにもな

い。かといってこの時代で生きていくという

のはなんとも生きづらい。

 

 

そう思っていた時、ちょうどある小学生のグ

ループが公園にやってきた。

 

 

 

ざっと見、7人くらいだろうか。

 

先頭の男子が一番後ろの男子に何か叫んでい

た。

 

「おい!弱虫!!!

さっさと歩けよ!おせーんだよ!!

みんなのランドセルくらいろくに持てないの

バーカ!」

 

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由香里はその瞬間状況を把握した。

 

 

「これって、間違いなくイジメだよ

ね、、、」

 

 

みんなのランドセルを持たされている男の子

は今にも泣きそうな顔でうつむいて歩いてい

た。

 

 

「弱虫はいつまでたっても弱虫くんだよね

ー。」

「弱虫くんと一緒にいたら病気になりそ

う。」

「勉強もできないし、運動もできないし、気

持ち悪いし生きている価値あるのかなー弱虫

くーん!」

 

 

どの子からも悪口を永遠に言われ続けている

男の子。

 

 

「どうして、みんな僕の名前で呼んでくれな

いの?いつもひどいよ。僕が何をしたってい

うの?」

 

感情が抑えられなくなったのか、急に男の子

が口を開いた。

 

 

「そんなに名前で呼ばれたいのか!弱虫!

だったら呼んでやるよー!雄介弱虫!!」

 

 

「雄介、、」

由香里はまるであることに気づいたかのよう

な表情をしていた。

 

 

「もしかして、君は小学生の時の雄介なの?

ここは雄介が生まれ育った埼玉県の公園。

そうに違いない。よく見てみると雄介の面影

がある!」

 

 

「良助くん、ひどいよ!もうやめてよ。

僕こんな毎日嫌だよ!」

 

 

「うるせーんだよ!弱虫小僧が!

お前は俺たちの言いなりになっていたらいい

んだよ!ほーらさっさとそこの砂場に寝転が

れよ!」

 

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由香里はあるがままに砂場に向かっている雄

介を抱きしめ、いじめていたグループにこう

言った。

 

「あんたら、そんなに弱いものいじめして楽

しいのかい?これ以上この子いじめたら私が

タダでは許さないよ!」

 

 

「なーんだこのおばちゃん!へーんなの!

帰れー帰れー帰れークソババー!」

 

 

良助はまだ25歳の由香里に対してこう言い

放った。

 

 

由香里はそんな言葉に見向きもせず、雄介を

抱えて公園から去った。

 

 

 

 

「雄介くん。大丈夫?」

 

 

雄介はあまり人を信用していないような目を

していた。

 

「あなたは誰ですか?」

 

「私?私は雄介くんの味方だよ。どんな時で

も。あなたを助けにきたんだよ。」

 

 

すると雄介は泣きそうな顔で由香里の服の端

っこを握りしめた。

 

「お願い。さっきのやつ、さっきのやつ、良

助を殺して。。」

 

雄介は小さな声で私に訴えかけてきた。

 

 

「ちょっと何を言ってるの?良助くんを殺

す?」

 

 

「良助は毎日僕をいじめてきて、それに良助

は周りを巻き込んで僕を懲らしめてくるん

だ。僕何もしてないのに。勉強と運動ができ

ないのと顔が気持ち悪いっていうだけでいじ

められるんだ。」

 

 

この時由香里はあることを思い出す。

 

 

雄介の部屋で見た手帳の書かれていた

「この世から排除したい人リスト」の中に書

かれていた一人が確かに「良助」だった。

 

 

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全部で5人書かれていたがその一人が良助だ

ったのだ。

 

 

14年後の雄介が人を信用せず、何を言って

も笑ってくれない、楽しそうにしてくれない

性格になってしまったのは、この5人のせ

い。

 

 

この5人さえいなかったら雄介も、もっと日

常生活を楽しめるようになるのだろう。

 

雄介に何かしらの悪さをしたこの5人。

 

この5人さえいなければ、雄介は幸せになれ

る。

 

そして、私とも幸せに過ごすことができる。

 

 

由香里は徐々に雄介を懲らしめてきた5人を

恨むようになっていた。

 

 

「お姉ちゃん。お願い。良助、良助を殺し

て。」

 

 

泣きながら懇願してくる雄介に由香里はいて

も立ってもいられなくなった。

 

 

「雄介くん。お姉ちゃんに任して。その良助

くんって子必ず殺すから。」

 

 

 

 

由香里はこの時リストに載ってた5人を殺す

と決めた。

 

 

 

 

 

「ドンッ!!」

 

激しい音が倉庫中に響き渡った。

 

小さな男の子の頭からは大量の血が流れてい

た。

 

 

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その横に立つ由香里。その顔には笑みがこぼ

れていた。

 

 

 

「排除したい人」残り4名

 

 

 

 

「皆をまとめ、人の上に立つ能力」か。