☆君に捧げる20日間〜正夢少年の物語(エピソード11)〜☆
こんばんは( ・∇・)
この物語がまさかこんなに長編になるとは思ってもみませんでした笑
ちなみに今日入れて後2日で完結します!
そして物語は、
いよいよ運命の時20日目が訪れようとしています!
果たして七虹ちゃんの運命はどうなってしまうのか?
光の思いはきちんと届くのでしょうか?
それでは、「正夢少年の物語」をお送りしたいと思います( ´ ▽ ` )
・・・・・
18日目
僕の思いは最後まで七虹ちゃんに届かなかった。
これまで自分の行動で七虹ちゃんの運命を変えてきた。
七虹ちゃんのクラスメイト、七虹ちゃんが大事にしている熊の人形を作ってくれたおばあちゃん、そして七虹ちゃんの将来の夢。
七虹ちゃんの生きる希望が見失われないように、大事な人に会わせたり、七虹ちゃんが心の中で思っている思いなどを全部聞いてきたつもりだった。
だが、それでは、七虹ちゃんの病気が完全に治ることは決してなかった。
それらの行動で変えられる運命としたら、余命を少しだけ引き伸ばすことだけだ。
病気そのものを直さない限りは七虹ちゃんは絶対に助からない。
そんなことは光にはわかっていたが、一体どうすればいいか全くわからなかった。
どれだけ余命が長引いても、あと二日後には七虹ちゃんは息を引き取ってしまう。
それまでに、どうにかしないと七虹ちゃんは助からない。
そうだ!こんなところで諦めるのか!
僕は絶対に七虹ちゃんを助けるって決めたんだ。
正夢なんか、正夢なんか、そんなもの僕は信じない。
現実ってのは自分で作っていくもんなんだ。
18日目の朝、光は枕をギューっと握りしめながらこう思った。
「ピーンポーン。」
誰かがやってきた。
「ガチャ。」
「七虹ちゃんのお母さん!どうしたんですか?」
お母さんは額に汗をかき、焦ったような顔で光の家にやってきた。
呼吸を整えた後、七虹ちゃんのお母さんはこう言った。
「光くん!実はね!日本で唯一、余命を2日くらい引き延ばすことができる薬が存在するんだって!
もう七虹の体は限界にきてる。もうこれしか余命を引き延ばす方法はないと思うの!」
光は少し顔を曇らせた。
「余命を2日しか引き延ばせないんですか。それ以上は七虹ちゃんは生きられないってことですよね、、
しかも、その薬がどこにあるのかわからないんですよね、」
「確かにそうだけど。私は少しでも七虹に長く生きていてもらいたい。
少しでも七虹の隣にいてやりたいの。光君も辛いのはわかるけど、七虹のために協力してもらいたい!」
お母さんの必死の説得もあって、光は一緒にその薬を探すことにした。
「でも、二人で探すのは難しいと思います!学校のみんなとか、地域のみんなとか、できるだけ多くの人で日本中に現状を伝えていくことが大事だと思います!」
「確かにそうよね。じゃあ、光くんは学校のみんなを頼めるかな?私は地域中に広めるから!」
「わかりました。」
こうして七虹ちゃんを助けるために、学校のみんな、そして地域のみんな、そして日本中へとその活動は広まっていった。
学校のみんな全員が、SNSを使って現状を発信することによって、みるみるうちに日本中に現状が伝わっていったのだ。
すると、ある一本の電話が七虹ちゃんのお母さんの携帯電話に入った。
「もしもし。こちら〇〇ですが。
SNSを見て、連絡させていただきました。お嬢さんがこのような現状であるのを知って、私自身とても心が傷ついています。
大事な娘さんがこんな状況なのに、見て見ぬ振りなんてできません!
その薬についてなんですが、その在りかを知ってます!
ぜひよければ、お嬢さんに飲ませてやってください!」
僕たちの活動が功を奏したのだ。
「ありがとうございます!本当にありがとうございます!」
お母さんは、携帯越しの相手に対して、深々にお辞儀をして、泣きながら感謝の気持ちを伝えた。
この薬のおかげで、この日なんとか七虹ちゃんは生き延びることができた。
19日目
「ピピピピピピピピピピピピピピピピ。」
目覚ましが激しい音で鳴り響く。
光は朝から非常に慌てていた。
もう、時間がないからだ。あの薬を飲んだとしても、明日には七虹ちゃんは亡くなってしまう運命だ。
もうこれ以上運命は変えられないのか。
そう思いながら、階段を降り、リビングへ向かった。
ただ、その時だった。
ふとかかっていたテレビを見ると、あるニュースがかかっていた。
光はそのニュースを見た瞬間、持っていたテレビのリモコンを思わず床に落としてしまった。
奇跡が起こったと思った。
「光。おはよう。どうしたのそんなにニュースに釘付けになって。あ、なんかアメリカの医療チームが新しい特効薬みたいなのを開発したかなんとかって、この前もテレビでやってたわよ。」
「これだ。もうこれしかない。この方法以外、七虹ちゃんが助かる方法なんてない。やるしかない。」
光は心に決めた。
「今すぐこのニュースをみんなに広めないと!」
すぐに光は身支度をし、朝食も食べずに家を飛び出した!
「ちょっと!光ー!ご飯は食べなくていいの?」
徐々に遠くなっていく母親の声に反応する余裕もこの時はなかった。
それからというと、学校のみんな、地域のみんなに加えて、日本中、いや世界中の人のおかげもあって、アメリカの医療チームを七虹ちゃんが入院している病院に呼ぶことに成功した。
動画で七虹ちゃんの現状を発信したり、クラウドファンディングで治療代を集めたりしたが、本当に世界中の人が協力してくれた。
ここまで、人の優しさに触れたことはなかった。
一人でできることは限られている。
しかし、あることを実現するためにみんなで一体になると、想像を超える力を発揮する。
できないと思ったことでさえ、可能になってくるのだ。
明日の朝には七虹ちゃんがいる病院へと、アメリカの医療チームは到着する予定だ。
これで、七虹ちゃんは救われる。
ようやく七虹ちゃんを助けることができる。
そう思えた1日であった。
20日目
「う、嘘だろ。まさかこんなことになるなんて。
なんでだよ!最後の最後でこんな運命になるって!ふざけんなよ!」
光は必死に戦った。
必死に七虹ちゃんを最後まで助けようとした。
だが、最後の最後で、国に負けたのだ。
「ピーーーーーーーーーーーーーー。」
なんの音だ。
一体この音は。
目覚ましの音だろうか。
わからない。
七虹ちゃんはもう死んだのか。
七虹ちゃん。七虹ちゃん。
絶望の朝を知らせる目覚ましの音が、
虚しくも部屋中に響き渡った。
最終話へ続く。