毎日を自分らしく生きたい人のゆるーり雑談blog

ちょこっと、ゆるりと。〜中学生シオンの物語〜

2人のキャラクターと共に、毎日思ったことや本から得た知識についてゆるーり発信していきます!

“仙人の教え|毎日自分らしく楽しむことに人生の意味がある”

☆君に捧げる20日間〜正夢少年の物語(エピソード6)〜

こんばんは( ・∇・)

 

 

 

今日も引き続き「正夢少年の物語」

についてお送りします( ^∀^)

 

 

 

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13日目

 

「ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ。」

 

 

 

昨日の僕と言えば、七虹ちゃんの母親から思

いもしなかったことを聞いて、まるで自分か

ら魂がなくなったかのような気持ちだった。

 

 

 

ゆっくりと日が沈む中、住宅街の中に佇む小

さな公園で、僕の瞼はだんだん力をなくし、

気づいたときには眠りに落ちていた。

 

 

 

その後どうやって家に帰ったかという記憶は

ほとんどない。

 

 

 

いつも通る道を何も考えずに帰ったのだろう

が、その時の自分の顔は一体どうなっていた

のだろうか?

 

 

 

まあ、昨日のことはひとまず置いておこう。

 

 

 

それにしても、今日も朝から額に汗がにじむ

ほどの暑さだ。

 

 

 

僕はリビングに行き、冷蔵庫に入っている冷

たいお茶を取り出し、勢いよく乾いた喉に流

し込んだ。

 

 

 

全身に潤いが与えられ、まるで力がみなぎる

ように体が回復した。

 

 

 

ただ、それはあくまでも体の問題だ。

 

 

 

僕の心は全然潤いを感じてなかった。

 

 

 

七虹ちゃんの命は持ってあと8日だ。

 

 

 

1週間と1日。

 

 

 

こう考えると、8日はかなり短い。

 

 

 

何も考えずに過ごしているとあっという間に

過ぎ去ってしまう。

 

 

 

光はそう思いながら、いつも家族と食事して

いるダイニングテーブルに腰掛けた。

 

 

 

「本当に僕には何もできないのだろうか?」

 

 

 

手を額に当てて、いろいろ考えを張り巡らせ

たが、一向に解決方法などでてこない。

 

 

 

「このまま家にいても、何も変わらない

な。」

 

 

 

そう思った光は、気分転換に外に出かけた。

 

 

 

いつもの道を同じように散歩してみる。

 

 

いつもと変わらない光景。

だが、七虹ちゃんだけには会えない。

 

 

どこを見回しても七虹ちゃんはいない。

 

 

入院中の七虹ちゃんに偶然会うことは決して

できない。

 

 

そんなことを考えながらてくてく歩いている

と、

おばあさんが顔を覗き込んで話しかけてき

た。

 

 

 

「坊や、、そんな深刻な顔していったいどう

したんだい?おや?坊やどこかで会ったこと

あるかいの?」

 

 

光はその声に聞き覚えがあった。

 

 

この優しい口調。まるで遠い田舎の暮らしを

彷彿させるようなおばあちゃん。

 

 

 

間違いない。この前、学校に向かう途中に、

出会ったおばあちゃんだ。

 

 

 

足を悪くしている状態で、重い荷物を3つほ

ど持っていたので、そんな人を助けないとい

う判断は僕にはできなかった。

 

 

 

「おばあちゃん。あの時のおばあちゃんです

よね。あの時は学校があったので家に寄るこ

とができず、ごめんなさいでした。」

 

 

 

「ああ〜。あの時の坊やかいな。

まさかまた会うことになるとはね〜。あの時

は荷物持ってくれてありがとうの。」

 

 

「どうだい。今日こそうちに遊びにこんかい

の?」

 

 

 

今日は特別用事もないし、できれば一人の時

間を少なくした方がいい。

 

 

最近七虹ちゃんのことで頭がいっぱいなのも

あって、一人でいるといろいろ思い悩んで鬱

になりそうだったからだ。

 

 

 

「ぜひおばあちゃんの家に寄らせてもらいま

す。」

 

 

 

 

おばあちゃんの家は本当に昔ながらの母屋の

ような感じだ。

 

 

 

畳の部屋に通され、座布団の上に腰掛けた。

 

 

 

そこから見える外の景色は鮮やかな色で彩ら

れた数々の草木、花々たち。

 

 

 

こんなにも暑いのに、元気にそびえ立ってい

る。

 

 

 

とても心地よい風鈴の音色を聴きながら、

思いを馳せていたところに、奥からおばあち

ゃんがやってきた。

 

 

「こんなものしかないけど、どうぞー。」

 

 

 

おばあちゃんが持ってきてくれたお盆の上に

は、きな粉がたっぷりかかっているわらび餅

と冷たいお茶が乗っていた。

 

 

「いえいえ、ありがとうございます。」

 

 

 

感謝の気持ちを述べた後、ぷるんとしたわら

び餅を口に運ぶ。

 

 

 

「坊や、あんなに深刻な顔をしてどうしたん

だい?何があったんだい?」

 

 

おばあちゃんは優しい口調で僕を心配してく

れた。

 

 

 

そうだ、おばあちゃんに話してみよう。

 

 

 

一人で抱え込んでいても、何も埓が開かない

し、少しでも沈んだ気持ちが和らぐかもしれ

ない。

 

 

 

「実はおばあちゃん、、、

僕のずっと好きな人が重い病気にかかってい

て、その子の余命が後1週間くらいなんで

す。」

 

 

 

おばあちゃんは光の話に耳を傾け、

真剣に聞いてくれた。

 

 

 

「それに、13日前から急に正夢を見るよう

になったんです。

それまではそんなことなんて全くなかったの

に。しかも、最初は自分に都合のいい内容だ

ったのが、だんだん不幸なものへと変化して

いったんです。」

 

 

 

こう言った瞬間、おばあちゃんの表情が変化

した。

 

 

 

まるで何かを悟ったかのような表情だった。

 

 

 

「まさか、坊やにその力が与えられたとは思

いもしなかったのー。」

 

 

 

ん?どういうことだ?

 

 

「実はわしも遠い昔、自分の好きな人がある

時医者に、余命を告げられたんじゃ。その時

わしも不思議な力を手に入れた。

 

 

「それが正夢を見て、その日の出来事を予測

できる力だったんじゃ。

ただ、わしはその好きな人の運命を変えるこ

とができなかった。

それ以降ずっと後悔の毎日じゃった。」

 

 

 

まさか、おばあちゃんも僕と同じ力を持って

いたなんて。

 

 

 

「やっぱり、運命は変えることができないん

ですね、、」

 

 

光はまた失望した。

 

 

おばあちゃんはつかさずこう続けた。

 

 

「わしと同じような悲しみを若者に与えるこ

とはできん。

いつかこんな日が来ると信じて、正夢を変え

る方法をずっと考えてたんじゃ。」

 

 

 

すると、おばあちゃんはタンスの中から一つ

のお守りを取り出してきた。

 

 

「このお守りを夜寝る前に横において寝るん

じゃ。そうすることで正夢をコントロール

ることができる。」

 

 

 

「ただ、それにはその人を助けたいといった

強い気持ちが必要じゃ。その気持ちがそのお

守りの力と合わさって、正夢を変えることが

できる。」

 

 

 

おばあちゃんは光の手を強く握りしめてこう

言った。

 

 

 

「必ず、その大切な人を助けるんじゃぞ。」

 

 

 

ありがとう、おばあちゃん。

 

 

 

僕はその瞬間、七虹ちゃんを何が何でも助け

ると

心に決心した。

 

 

続く。