毎日を自分らしく生きたい人のゆるーり雑談blog

ちょこっと、ゆるりと。〜中学生シオンの物語〜

2人のキャラクターと共に、毎日思ったことや本から得た知識についてゆるーり発信していきます!

“仙人の教え|毎日自分らしく楽しむことに人生の意味がある”

☆君に捧げる20日間〜正夢少年の物語(エピソード9)〜☆

 

 

16日目

 

七虹ちゃんがまだやりたいことはたくさんあ

ったはずだ。

 

 

それに気づいてやれなかった自分に後悔して

いる自分がいる。

 

 

 

学校のみんなに会うことができた七虹ちゃ

ん。

 

 

 

それによって本来、息をひきとるはずだった

が、七虹ちゃんは生き延びることができた。

 

 

 

だが、今日、七虹ちゃんは虚しくも息を引き

取ってしまった。

 

 

 

その横には七虹ちゃんがいつも大事に持って

いた熊の人形が置かれていた。

 

 

 

光はその熊の人形を見ながら、

ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかっ

た。

 

 

な、、な、、ちゃん、

 

 

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「ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピピピ、ピ

ピピピピ。」

 

 

目覚ましがテンポよく部屋中に鳴り響く。

 

 

まるで僕の心を奮い立たせるように鳴り響

く。

 

 

光は目覚めた後、机の上に置いてあるカレン

ダーに目を向け、今日の日付を何回も確認し

た。

 

 

 

「今日は〇〇日かー。

七虹ちゃんの余命期限まであと5日。

どうしても七虹ちゃんを助けたい。今のまま

では今日息を引き取ってしまうことになる。」

 

 

 

ふと光は思ったことがあった。

 

 

 

七虹ちゃんがいつも大切に持っていたあの熊

の人形はいったい誰からもらったものなの

か。

 

 

 

それとも七虹ちゃん自身でどこかで買ったも

のなのか。

 

 

 

光は見た感じ、誰かが手作りで作っているよ

うに見えた。

 

 

 

七虹ちゃんに直接聞くのは申し訳ない。

 

 

 

そんなこともあり、

「そうだ!七虹ちゃんの母親に聞きに行こ

う!」

 

 

そう光は思った。

 

 

 

幸運なことに光は七虹ちゃんの家を知ってい

た。

 

 

昔、七虹ちゃんの忘れ物を届けに行ったこと

があるからだ。

 

 

 

「ピーンポーン。」

 

 

ピンポンを鳴らして、10秒くらい玄関の前で

待った。

 

 

すると、玄関を開けて七虹ちゃんの母親がい

つものように優しく迎えてくれた。

 

 

「あら。光くん。どうしたの?」

 

 

「あのー。実は。七虹ちゃんのことで聞きた

いことがありまして!」

 

 

全く嫌な顔をせずに七虹ちゃんの母親は話を

聞いてくれた。

 

 

「七虹のこと?気にせずなんでも聞いていい

よ!」

 

 

「ありがとうございます!

実は七虹ちゃんがいつも持っている熊の人形

について何ですが、あの人形はいったい誰が

作ったんですか?」

 

 

 

「ああー。あの熊の人形のことね。

よく手作りってのがわかったねー。あの人形

は七虹の祖母が作ってプレゼントしたものな

んだよー。」

 

 

 

「実は七虹は小さい時にもある病気を患った

ことがあって、その時に七虹の祖母が手作り

で七虹にあげたんだー。」

 

 

そう聞いた光はあることを尋ねた。

 

 

 

「そうなんですね。だから七虹ちゃんはその

人形をあんなに大事そうにいつも持っていた

んですね。

七虹ちゃんの祖母ってどちらに住んでいるん

ですか?」

 

 

 

「祖母はね。ちょっと遠いんだけど、岩手県

に住んでいるの。

祖母も今あまり調子が良くないみたいで、本

当はもっと早く七虹に合わせたかったんだけ

ど、できなかったの。」

 

 

 

七虹ちゃんの母は少し悲しい表情でこう言っ

た。

 

 

 

ここで行動しないと、運命を変えられない。

そう思った光は勇気を絞って母に伝えた。

 

 

「こんなこと、言って失礼かもしれないんで

すけど、七虹ちゃんはおばあちゃんに会いた

いって絶対思ってます!

今自分の状況がどうであれ、それ以上におば

あちゃんに会いたいって!

そう心の中で叫んでいると思います!」

 

 

 

「でも、そんな岩手県まで七虹を連れていく

なんて可哀想で到底できないわ。本当は連れ

ていきたいけど。」

 

 

光はつかさずこう続けた。

 

 

 

「そんなこと言ってる場合じゃないと思いま

す!

七虹ちゃんにとっては1日1日がとっても大事

な1日なんです!

だから!だから!お願いします!七虹ちゃん

をおばあちゃんに合わせてやってください!

お願いします!」

 

 

 

心の底からこう訴えかけた。

 

 

 

「光くん。ありがとう。本当にありがとう。

そうだよね。七虹にとっての1日って私たち

の1日とは違うもんね。今すぐ七虹のところ

に行って伝えてくるね。光くんあなたも病院

に来る?」

 

 

 

本当は僕も行きたかった。

七虹ちゃんの顔を1日でも長く見たい。

1日でも長く一緒に話していたい。

 

 

 

でも、今日は七虹ちゃんとお母さん、そして

おばあちゃんの時間を邪魔するわけにはいか

なかった。

 

 

 

「いえ、今日は遠慮させていただきます。家

に帰ってやることもたくさんありますので。

それでは失礼します。」

 

 

 

そう言って光は七虹ちゃんの家を後にし、

家に帰宅した。

 

 

 

本当は気になる。

この後の運命がどうなるか。

 

 

 

きっとうまくいくはずだ。

 

 

 

17日目

 

「ピピピピピピ、ピピピピピピ。」

 

 

七虹ちゃん!!!!!

 

 

 

大声をあげてベッドから勢いよく起きた。

 

 

 

また光はある夢を見ていた。

 

 

 

そういえば、昨日七虹ちゃんは無事おばあち

ゃんに会うことができたのだろうか。

 

 

 

おばあちゃんに会えたことによって、七虹ち

ゃんは息を引き取らずに済んだのだろうか。

 

 

 

そのことが気になりすぎて、朝のニュースが

全く頭の中に入ってこない。

 

 

 

「次のニュースです。アメリカの医療チーム

が開発した・・・・」

 

 

 

今日の昼頃には、七虹ちゃんとお母さんは帰

って来るだろう。

 

 

 

それまで自分の用事を全て終わらせよう。

 

 

 

 

「ピーンポーン」

 

 

家のピンポンが鳴った。

 

 

 

誰だろう。と思ったが、すぐにだれか判明し

た。

 

 

 

そこには優しい笑顔の七虹ちゃんのお母さん

が立っていた。

 

 

 

「七虹ちゃんのお母さん!」

 

 

「光くん。昨日は本当にありがとう。

おかげで七虹を祖母に合わせることができた

よー。

祖母もすごく喜んで、涙を流して喜んで

た。」

 

 

「それに七虹も本当はずっと会いたかったっ

て言ってた。

でも自分がこんな病気に侵されたから、おば

あちゃんにも会いづらいって考えてたみた

い。」

 

 

 

「本当に光くんのおかげです。ありがと

う。」

 

 

 

光はこの瞬間安心した。

 

 

「本当に良かったです!あのー。七虹ちゃん

はそのあと体調どうですか?」

 

 

 

「今は病院でぐっすり寝ているよー。

昨日は結構疲れてたみたいだから。」

 

 

 

「そうですか!良かったです!

また、お見舞いにいかせていただきます!」

 

 

 

「いつでも七虹のところに行ってあげて

ね!」

 

 

 

 

 

 

一方その時病院では、、

 

 

 

「私は、私は、私の夢は、、」

 

 

 

幸せそうな表情でぐっすり眠る七虹ちゃんの

姿があった。

 

 

 

 

 

 続く。