毎日を自分らしく生きたい人のゆるーり雑談blog

ちょこっと、ゆるりと。〜中学生シオンの物語〜

2人のキャラクターと共に、毎日思ったことや本から得た知識についてゆるーり発信していきます!

“仙人の教え|毎日自分らしく楽しむことに人生の意味がある”

☆君に捧げる20日間〜正夢少年の物語(エピソード7)〜

こんばんは٩( 'ω' )و

 

 

 

いよいよ物語も最終章に入ってきました( ・

∇・)

 

 

 

最後まで読んでいただければありがたいで

す!

 

 

 

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・・・・・

 

 

14日目

 

「ピピピピピ、ピピピピピ。」

 

 

最近、目覚ましの音の刻む回数が増えてい

る。

 

 

 

それだけ目覚めが悪いというのだろうか。

 

 

 

そういえば、昨日はおばあちゃんに貰った不

思議な力があるお守りを、枕の横に置いて眠

りについた。

 

 

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どうやらこのお守りは正夢を変える力がある

らしいが、正確にいうと、正夢を変えるとい

うよりは、現実を正夢と違うものにすること

ができるらしい。

 

 

 

そして、その効果を発揮するためには、「誰

かを助けたい!」

といった強い意志がないといけないらしい。

 

 

 

ただ、そんな心配はご無用だ。

 

 

 

僕にとって七虹ちゃんは死ぬ気で助けたい人

だからだ。

 

 

 

初めて七虹ちゃんと出会った日から僕の心は

奪われていた。

 

 

 

部活は異なるが同じ部長として、共有できる

悩みも持っていたし、気さくで話してくれる

穏やかな七虹ちゃんが僕は好きだ。

 

 

 

この気持ちを伝えられないまま、七虹ちゃん

がこの世からいなくなってしまうなんて想像

もしたくなかった。

 

 

 

正直、病院で七虹ちゃんの母親から余命とい

う言葉を聞いた瞬間は、絶望し、なぜ七虹ち

ゃんだけがそんな運命を背負うことになるん

だと、この世の中を恨みかけた。

 

 

 

 

僕の好きな人をこんな運命にするなんて、

なんて残酷な世界なんだと。

 

 

 

激しい動悸を抑え込むのに必死で、ご飯もほ

とんど喉を通らなかったが、今は僕には希望

がある。

 

 

 

おばあちゃんから貰ったお守りで未来を変え

る。

 

 

 

起きてから眠るまでが勝負だ。

 

 

 

この間にいかに正夢と現実の内容を変化させ

ることができるかが重要だ。

 

 

 

「七虹ちゃんに生きる希望を持って欲し

い。」

 

 

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今七虹ちゃんは病院の一室で自分の病と戦い

続けている。

 

 

 

それは想像を絶するくらい孤独な戦いであろ

う。

 

 

 

閉ざされた空間の中で、後1週間しか命が持

たないとわかっていながら、生きなければな

らない苦痛はいったいどれほどのものなの

か。

 

 

 

「七虹ちゃんに生きる希望を持って欲し

い。」

 

 

 

この気持ちが僕を七虹ちゃんが入院している

部屋へと誘導した。

 

 

気がつくと、部屋の目の前まで来ていた。

 

 

 

ここで僕が行動しないと、正夢通りの結果に

なってしまう。

 

 

 

不安という気持ちを押しのけながら、自分の

胸に手を当てて、気持ちを落ち着かせた。

 

 

 

 

ガラガラ。

 

 

扉を横にスライドさせる。

 

 

そこには俯いて何かを考えているような姿の

七虹ちゃんがいた。

 

 

光は部屋に入った瞬間、少し足を止めてしま

った。

 

 

 

「なんて話しかけたらいいんだ、、、」

 

 

 

こんなに暗い雰囲気の七虹ちゃんを見ること

自体が初めてで、異様な空気に押し潰れそう

だった。

 

 

 

「七虹ちゃん、、体調は、ど、う??」

 

 

勇気を絞って第一声を出したが、とても緊張

した口調になってしまった。

 

 

 

「光君かー。来てくれたんだね。

お母さんから聞いたよ。全部話聞いたんだよ

ね。」

 

 

 

七虹ちゃんの母親が、あの時の会話を全部話

していたらしい。

 

 

「う、うん。全部聞いちゃった。

七虹ちゃん、大、、、」

 

 

大丈夫?って言いかけようとした瞬間、

七虹ちゃんは急に態度を変えた。

 

 

 

「あーあ!もう!私なんて後1週間しか生き

られないのよー。

そんな人に会いに来るなんてどうかしてるよ

光君。

もう私、なんで今生きているかわかんない。

こんな苦しい1週間なんていらないよーー

ー」

 

 

 

そう言った瞬間、七虹ちゃんはこれまで抑え

込んでいた感情を全て吐き出した。

 

 

 

悲しさ、辛さ、絶望感。

 

 

 

それらを背負っていても、学校で会ったり、

話したりしているときは、決して僕にその感

情を見せることはなかった。

 

 

どんな時も笑顔で優しく接してくれた七虹ち

ゃん。

 

 

 

ただ、ここではもうその感情を抑えきれなく

なっていた。

 

 

 

「どうして私だけ。どうして私だけ。こんな

ことになるのよ。もっと生きたいよ。もっと

やりたいことだってあるよ。

いっぱい美味しいもの食べて、友達ともっと

話して、笑いあって、いろんなとこ旅行行き

たいし、将来の夢だってあるのに。」

 

 

 

「どうして私なのよーーー!!」

 

 

 

そこには、あの笑顔で気さくに話してくれる

七虹ちゃんの姿はなかった。

 

 

 

光はただちょっと離れた場所で突っ立ってい

ることしかできなかった。

 

 

 

「このままでいいのか?

未来を変えるんだ。七虹ちゃんの運命を変え

るんだ。」

 

 

 

その気持ちが光を動かす。

 

 

 

光は泣いている七虹ちゃんの横に行き、

ゆっくりと抱きしめた。

 

 

 

その瞬間、七虹ちゃんはさらに声をあげて泣

き始めた。

 

 

 

「ひかるくん、ひかるくん、私死ぬの怖いよ

ー!

もっと生きていたいよー!」

 

 

必死で気持ちを僕に伝えてくる。

 

 

 

僕も泣きたい。今すぐ泣きたい。

こんな姿の七虹ちゃんを見て今すぐ泣きた

い。

 

 

 

ただ、僕には言わなければいけないことがあ

る。

 

 

 

「七虹ちゃん。聞いて欲しい。

僕は絶対に七虹ちゃんを助ける!

七虹ちゃんの人生をこんなところで終わらせ

ない。」

 

 

「あと1週間でいなくなるなんて僕には考え

られない。

そんなこと考えたくもない。だから絶対に助

ける!」

 

 

 

そう言うと、七虹ちゃんは自分の手で少し涙

を拭って、

 

「そんなことできないよー。私は余命が後1

週間って言われてるんだよ。」

 

 

 

「七虹ちゃん。何回も言うけど、絶対僕が助

けるから。

何があっても絶対助けるから!」

 

 

七虹ちゃんはまた泣きながらこう言った。

 

 

「どうして、私にそんなに必死になってくれ

るの。どうして?どうして?」

 

 

 

光は1回目を閉じた後、覚悟を決めてこう言

った。

 

 

「決まってるじゃん。七虹ちゃんのことが好

きだから。」

 

 

 

それ以上でも以下でもない。

 

 

 

七虹ちゃんは小さな声で

 

「ありがとう。」

 

とつぶやいた。

 

 

そうやって抱き合っている二人を

降り注ぐ光が元気付けているように

 

見えた。

 

 

続く。