毎日を自分らしく生きたい人のゆるーり雑談blog

ちょこっと、ゆるりと。〜中学生シオンの物語〜

2人のキャラクターと共に、毎日思ったことや本から得た知識についてゆるーり発信していきます!

“仙人の教え|毎日自分らしく楽しむことに人生の意味がある”

☆君に捧げる20日間〜正夢少年の物語(エピソード5)〜

こんばんは( ^∀^)

 

 

 

今日も引き続き「正夢少年の物語」

についてお送りしたいと思います( ・

∇・)

 

 

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・・・・・

 

 

11日目

 

僕はこの日、七虹ちゃんが入院している部屋

へと駆けつけた。

 

 

 

その部屋の前に一人の女性が座っていたが、

その人は七虹ちゃんの母親であった。

 

 

 

自分が同じ学校に通っており、昨日公園で一

緒に話していたということを告げる。

 

 

 

「光さん、わざわざ七虹のことを気にかけて

くれてありがとうね。

最近七虹は一日中眠ったままの時もあった

り、体調が悪い日があったりして、なかなか

学校に通えてなかったのよ。」

 

 

 

「そうなんですね、、、

学校があるときも、道端で私服姿の七虹ちゃ

んを見かけたんで、どうしたのかなって思っ

てたんです。」

 

 

 

「でも、またゆっくり休んだら元気になりそ

うでよかったです!」

 

 

 

そう言うと、七虹ちゃんの母は顔を少し俯か

せ、深刻な顔でこう言った。

 

 

 

「あのね、光さん。

実は七虹は重い病気を患わっているの。

しかも、後10日くらいしか生きられない。

それくらい深刻な状況なの。」

 

 

 

その言葉を聞いた瞬間、僕の目の前そして頭

の中は、真っ白になった。

 

 

 

「あと、、10日、、、、」

 

 

光はそう呟いた。

 

 

「そう、もともと体が弱くて病院に通ってい

たんだけど、ちょうど10日前に医者の先生

から、患わっている病気のことを伝えられ

て、余命を言われたの。」

 

 

 

「正直それを聞いた瞬間は全く信じられなか

ったわ。

と言うよりも信じたくなかった。こんなにも

若い娘が私よりも先に命をなくすなん

て、、、」

 

 

 

「でも、これが事実なんだって。現実なんだ

って。そう自分に言い聞かせて毎日生きてる

んだけど、正直毎日生きた心地が全くしない

の。」

 

 

今にも泣きそうなくらい辛い表情だ。

 

 

僕だって、こんなこと信じられない。

 

 

現実だって信じたくない。

 

 

 

どうか、夢であってほしい。

 

 

何が正夢なんだ。

 

 

なんで不幸を告げる正夢ばかりなんだ。

 

 

 

もし、現実を変えることができるというな

ら、今にでも七虹ちゃんを助けたい。

 

 

後10日しか七虹ちゃんに会えないだなんて

考えられない。

 

 

 

もっと七虹ちゃんと仲良くなって、

もっともっと楽しいこととか辛いことを共有

したい。

 

 

 

なんて現実は残酷なんだ。

 

 

 

ふざけるな。

 

 

 

 

 

そうやって自分を失いそうになったが、

本当に辛いのは自分ではなく、七虹ちゃん自

身だ。

 

 

 

今の自分には何もできない。

 

 

 

もう何も考えられない。

 

 

 

七虹ちゃんの母親に何も言うことができず、

部屋を背に向け、家に帰っていった。

 

 

 

 

・・・・・

 

12日目

 

「ピピピピ、ピピピピ。」

 

 

目覚ましの音が今となっては非常に不快だ。

 

 

 

二日間も学校を休んでしまった。

 

 

先生とクラスメイトにはかなり心配された

が、到底七虹ちゃんのことで休んだなんて言

えない。

 

 

 

一応、体調が悪くて休んだことになってい

る。

 

 

 

ああ、全くといっていいほど、授業に集中で

きない。

 

 

 

これも今日の正夢通りのシナリオだ。

 

 

 

こんなことまで正夢通りになるなんてやるせ

ない。

 

 

「キーンコーンカーンコーン。」

 

 

 

授業の終わりを合図するチャイムが鳴った。

 

 

 

授業中にずっと考えていたことがある。

 

 

それはなぜ正夢を見るようになったかという

ことだ。

 

 

 

それまでは一回も正夢なんて見たことがなか

った。

 

 

 

それにもかかわらず、あの日を境目に正夢を

見るようになった。

 

 

 

僕は急いで、図書館に向かい、正夢に関する

書籍を読んだ。

 

 

 

難しい言葉で書かれており、その情報がどこ

にあるのか探すだけでも骨の折れる作業だ。

 

 

 

だが、この謎は解決しておかないと気が済ま

ない。

 

 

 

「あった!これだ。」

 

 

 

ようやくその情報にたどり着いた。

 

 

 

そこに書かれていた内容とは、

 

「誰かが不幸なこと(例えば間も無く亡くな

ってしまうとか)に見舞われる運命にある

時、その人から自然に助けてほしいといった

思いが発信される。それが誰かの元に届くの

だが、それが、誰かの正夢になって具現化さ

れる。」

 

というものであった。

 

 

 

この文章を読んだ瞬間、光は「ハッと」思っ

た。

 

 

 

正夢を見始めたのは11日前。

そして、七虹ちゃんが余命を宣告されたの

も、11日前。

 

 

 

日にちが全く同じだ。一致している。

 

 

 

ということは、七虹ちゃんの「助けて!」と

いった思いが、僕が見た正夢の中で込められ

ていたというわけだろうか。

 

 

 

だが、

最初は自分にとって都合のいい正夢だったの

が、どんどん不幸の正夢に変わっていたのは

なぜなんだろう。

 

 

 

そこまでは書籍には書かれていなかった。

 

 

 

まさか、こんなことになるなんて。

まさか、自分が見る正夢にこんな重要なメッ

セージが隠されていたなんて。

 

 

 

思いもしなかった。

 

 

 

 

そう思いながら光は、七虹ちゃんと話したあ

の公園に来ていた。

 

 

 

七虹ちゃんが座っていたところに光も腰掛け

る。

 

 

 

「いったい、あの時七虹ちゃんはどんな気持

ちだったのだろうか?

何もわかっていない僕なんかに心配されて、

不快な気持ちになってなかったのだろう

か?」

 

 

 

考えれば考えるほど、自分の軽率な言動が悔

やまれる。

 

 

 

「僕には七虹ちゃんを助けることはできない

のか。」

 

 

 

光は自分の無力さに失望する。

 

 

 

自分のちっぽけさに失望する。

 

 

 

頭の中が空っぽになりながら、

そのベンチで眠りに落ちてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

続く。